遺言書の重要性について
2024/04/17
相続の際には、これまで特に問題はなかった親族関係にひびが入ることがあり、最悪の場合には親族関係が断絶するようなことも起こります。相続対策では相続税対策など金銭的な観点も大切ですが、円満な人間関係の継続という観点からも、相続対策をないがしろにすることはリスクがあります。
こういった相続の際の争い(いわゆる「争族」となること)を防止して、争いなく遺産を引き継ぐために、最重要ともいえるのが「遺言書」です。
目次
遺言書の役割
第一に、遺言書は亡くなった方の明確な意思表示となります。すなわち分割する財産の持ち主ご本人が「このように分けてください」と書面に残して意向を示しているので、残された相続人としても、心情的に受け入れやすく、また異論を挟みにくいものとなります。
第二に、遺言書により財産の行き先が明示されます。もちろん、遺言書がない場合でも、法律により法定相続分に沿った配分がなされます。しかし、これだけですと、不動産を誰が取得するのかといったことで争いになる場合がありますし、他にも生前贈与の問題や、寄与分の問題で紛争が発生することがあります。
なお、遺言書を書くことにより遺留分の問題もありますが、そのことを見据えた遺言書の内容とすることで一定程度紛争を回避できます。
遺言書の活用状況
このように、争いなく相続手続きを進めるために重要な役割を担う遺言書ですが、実際に遺言書を作成している方は、全体の数%にとどまります (参考)。
これにはいくつかの理由が考えられますが、まだまだ十分に活用されておらず、紛争化していしまうことが見受けられるのが実態です。多少意識するだけで防げる紛争もありますので、遺言書の活用がより一般的になることが望まれます。
遺言書作成を検討すべきケース
もちろん全ての方が遺言書を作成する必要があるわけではありません。
債務の方が多い場合、プラス財産があるものの限られた額である場合、相続人が一人しかおらず争いが生じる可能性がない場合、などは遺言書を作成しなくても大きな問題とはならないことが多いでしょう。
しかし、以下のような場合は、遺言書を作成すべきかどうか、一度は検討すべきでしょう。
- 相続人のうち特定の人だけが介護や身辺ケアを行っている
- 相続人の中に全く疎遠になっている人がいる
- 財産が自宅とわずかな貯金のみである
- 家族経営の会社がある
- 財産を引き継がせるべき親族がいない
- 先祖名義の不動産がある (相続登記義務化の観点からも問題あり)
遺言書作成の注意点
遺言書は、相続に関する重要な文書です。しかし、手続きが正しく行われていなかったり、内容に誤解があった場合、思わぬトラブルが発生することもあります。そのため、遺言書を作成する際には注意が必要ます。
現時点では、「公正証書遺言」か「自筆証書遺言書保管制度」による遺言書作成をお勧めしております。
どういったことに注意すべきか、どういった方法がふさわしいのか、判断に迷われることもあるかと思いますので、いつでもご相談ください。
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法律事務所 光琳
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