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預貯金の使い込みについて

預貯金の使い込みについて

2024/04/03

遺産分割の方法を検討する際に頻繁に問題となるのが、生前に故人の預貯金が不自然に目減りしているケースです。中には1000万円以上の預貯金が減っているケースもあります。
もちろん、施設入居費用や医療費など被相続人にとって必要な出費はあります。しかし、そういった理由では説明のつかない規模の現金が使われている場合、状況を知らない相続人としては、故人と身近だった相続人が使っていないかを疑うこともやむをないことでしょう。

今回は、この俗にいう「使い込み」の問題について解説します。

目次

    使い込みのパターン

    故人の預貯金の使い込みに関しては、大きく分ければ、生前(相続前)の使い込みと、死後(相続後)の使い込みがありますが、より大きな問題となるのは生前の使い込みです。これは、生前の使い込みの方が気づかれにくく、また長期にわたる使い込みも生じやすいためです。
    中には被相続人から面倒を見てくれた親族に実際に贈与をしたケースもあるでしょうが、これについても贈与をしたという証拠がなければ、「使い込みではないか」と疑われて親族間での争いの火種になってしまいます。

    どういった場合が問題か

    預貯金を有する被相続人は、ご高齢になるにつれ、体力・気力が低下し、自立して生活することが難しくなる方や施設に入所する方がいらっしゃいます。この場合、預貯金の管理については身近な親族に委ねるケースも数多くあります。その際、被相続人の意思に沿って適切な管理がなされれば問題ありません。
    しかし、中にはキャッシュカードを預かっている親族が「もしものときのために、現金化して保管しておく必要がある」といって、次々と預金を引き出すケースがあります (典型例としては、連日ATM上限の50万円を引き出すパターンが挙げられます。)。
    一方の被相続人は、施設に入所していたりお金のことには無頓着で、そのような事態すら知らないまま亡くなってしまう場合が多いです。
    そして、その後の遺産分割において、その引き出された現金についても適切に分割の対象とされれば問題ありませんが、管理していた相続人がその引き出した現金は除いて遺産分割をしようとした場合が問題となります。実際にこういったケースはかなり多く見られます。

    他の相続人はどうすべきか

    他の相続人としては、被相続人の対応を任せていた立場もあり、そういったお金の使い込みに踏み込めないことも多いでしょう。そのような場合にまずなすべきは被相続人の預貯金履歴の調査です。
    相続人の立場で金融機関に行けば、直近10年の取引履歴の開示を受けることができ、そこで不自然な預貯金の引き出しがあるかどうかを確認することができます。親族間の信頼関係や立場もありますので、いきなり「通帳や履歴を見せてください」とは言いにくいと思われますので、まずは水面下で金融機関に調査するのが、穏当な手段としていいでしょう。

    使い込みに当たるかどうか

    調査により不自然なお金の動きが見つかったとしても、それが必ずしも使い込みに該当するわけではありません。被相続人が自分のためにお金を使うことは自由ですし、その使い道の一環として、身近な世話をしてくれた親族に贈与することも自由です。
    一方で、被相続人が把握していないうちに、金銭管理をしている親族が勝手にお金を引き出してしまうことは不適切な使い込みに該当するでしょう。
    こういった場合に、お金の使い道や行き先が被相続人の意思に沿っているかどうかが証拠によって争われることになるのです。たとえば、施設に支払った領収書や、介護用のリフォーム費用の領収書があれば、それは被相続人の意図に沿った支出だったと判断されやすいですが、なにも証拠がなければ、被相続人の知らないところで使い込まれた、と扱われることも生じます。

    どういった方法で話し合いをすべきか

    不審なお金の動きが見つかった場合、そのことを協議する方法として、大きく分けると裁判所を使う方法と使わない方法があります。親族間のことですのでいきなり裁判所を使うことは気が引けるでしょうし、実際に、裁判所を使わずに解決するケースもありますので、最初の手段としては、裁判所を介さず様子をうかがうことも可能です。
    しかし、そこでの話し合いが決裂した場合には、家庭裁判所での調停や、地方裁判所での訴訟といった手段も検討する必要があります。

    生前に気を付けるべきこと

    このような使い込み問題は親族間において深刻な対立となることがあります。中には、それまで何の問題もなく親戚付き合いをしていた兄弟姉妹が、これを機に関係が断絶してしまうことすら起こります。
    それを避けるためにできることの一つは、被相続人が生前に遺言などでお金の行き先を明らかにしておくことです。それをせず、身近な親族にキャッシュカードなどを預けてしまうと、上述のような不透明な点が残り、紛争が発生することにつながります。多くの場合は、その危険性にすら知らず、漠然と「自分の子だから任せれば安心」と考えた結果、取り返しがつかないくらいに親族関係が悪化することが生じるのです。
    もちろん、これは「言うは易し、行うは難し」であり、いまでも遺言の話をすることは、被相続人からも相続人からもハードルが高いものであり、後回しになりがちです。しかし、このハードルを乗り越え、死後まで見据えた財産計画を進めることが、親族関係の悪化の可能性を低下させる有効策となります。

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