寄与分、そして特別寄与料とは
2024/02/29
相続の際に問題となるポイントの一つに「寄与分」というものがあります。これは被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人について、法定相続分を超える財産を相続することを認める制度です。また、近年法改正により「特別寄与料」というものも認められるようになりました。この記事ではこれらについてお伝えします。
また、寄与分が認められるかどうかは紛争になりやすいので、そのための対策として何が考えられるかについても解説します。
目次
寄与分、特別寄与料とは
寄与分と特別寄与料、いずれの制度も、被相続人の療養看護を行ったり、家業を手伝ったりすることにより、被相続人の遺産の維持・増加に貢献した者に対して、その貢献度合いに応じて相続時に優遇される制度です。
両者が異なる点は、寄与分は相続人が主張できる権利なのに対し、特別寄与料は相続人以外の親族(長男の妻、被相続人の兄弟など)が主張できる権利という点です。
特別寄与料についてはこれまで認められていませんでしたが、法改正により2019年7月1日以降に亡くなった被相続人について認められます。
認められる条件
寄与分も特別寄与料も、被相続人を助けて「特別の寄与」をした場合に認められる権利です。
寄与分に関して申しますと、ただ単に一緒に生活をしていたというだけでは足りず、身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の寄与があることが必要とされています。通常期待される義務の範囲内にとどまる場合、その行為は通常の寄与に過ぎず寄与分は認められません。
特別寄与料に関しては、寄与分の対象となる相続人おいては扶養義務を負っていることが多いのに比べ、特別寄与料を主張する者はそのような義務を負っていないのが通常です。このため前記のような高度な寄与をしたことまでの必要はなく、財産の維持又は増加についての貢献の程度が一定程度を超えていれば足りると考えられています。
このことから、寄与の程度でいうと、特別寄与料の方がやや緩やかな程度で足りると考えられています。
特別寄与料を請求できるのは誰?
特別寄与料を請求できる対象者は、被相続人の親族であって相続人でない人です。親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を指します。例:兄弟姉妹 、甥・姪 、子の配偶者(※内縁の配偶者は含まれません)
請求できる内容、時期
条文上は、寄与分と特別寄与料は類似の文言が用いられているため、金額算定はほぼ同様に行われることが想定されている、とのことです。
請求できる期間については、特別寄与料の請求は6か月の期限があります。一方、寄与分については相続開始後10年という期限があります。
紛争を避ける手段
以上のような、寄与分・特別寄与料ですが、せっかく被相続人のために尽くしてきたとしても、疎遠だった相続人から否定されてしまうことも起こります。そうすると、家庭裁判所で争うこととなり、トラブルともなります。
これを防ぐ一つの手段が、被相続人に寄与内容を踏まえた遺言を作成してもらうことです。適切に作成された遺言さえあれば、他の相続人としても争う余地がなくなります。しかし、寄与分・特別寄与料の制度ですと、どちらの言い分が認められるかはともかくとして、争う余地は出てきてしまいます。さらには、証拠などが不十分であった場合は、尽力した内容よりも低い金額でしか認定されないということも起こりえます。
もちろん遺言を書いてもらうことにも心理的なハードルがありますし、そもそも書いてもらえないこともあるでしょう。
どうすればいいのか迷われた際には一度ご相談ください。
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