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令和に新設された「自筆証書遺言書保管制度」について

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令和に新設された「自筆証書遺言書保管制度」について

令和に新設された「自筆証書遺言書保管制度」について

2024/02/17

令和2年7月から法務局での「自筆証書遺言書保管制度」の運用が始まりました。これまで多くの遺言書の選択肢として用いられてきたのは「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類でしたが、これからは後者の「自筆証書遺言」についてより安心して作成することができるようになります。今回は、自筆証書遺言の概要についてご紹介します。遺言を残したいと考えている方は必見です。

目次

    遺言書保管制度の役割

    相続において遺言書は重要な役割を担っていますが、遺言書は紙であるため遺失や破損のリスクがあります。また、存命中に作成した遺言書を自宅などに保管している場合、亡くなった後に発見されないケースもあります。公正証書遺言であれば、この点も一定の安心感がありましたが、もう一つの選択肢として自筆証書遺言書保管制度が新設されました。この制度のメリット・デメリットについて解説します。

    法務局による自筆証書遺言書保管制度とは

    この制度を担うのは、ふだん不動産登記や会社の登記を扱っている法務局です。自筆証書について法務局に保管申請をすることで、遺言書保管官がその遺言が民法上の最低限の要件(全文、日付及び氏名の自書、押印の有無等)を充たしているかチェックし、原本は50年、画像データは150年にわたり適正に保管します。
    これにより、遺言書の紛失のおそれがなくなるとともに、相続人などのによる破棄、隠匿、改ざんなどのおそれも生じません。また、相続開始後において家庭裁判所における「検認」という手続きも不要です。以上のメリットは「公正証書遺言」においても同様でしたが、これに加えて新たな選択肢が生まれました。適切な遺言書の保管によって、相続人間の紛争を予防し、円満に相続することができます。また、手続費用でいえば、「公正証書遺言」が数万円以上かかるのに比べ、保管申請の費用は3900円と比較的気軽に利用できる制度です。

    公正証書遺言との違い

    費用以外に公正証書遺言遺言と比べるとどうでしょうか。

    1. 内容のチェック
      公正証書遺言の場合は、公証人が内容まで確認をしてくれますが、法務局でのチェックは最低限のものでありこれだけで十分ではない場合もあります。このため弁護士などに事前に相談する方がよいでしょう。
    2. 法務局に行けるか、自筆ができるか
      公正証書遺言の場合、病院や施設に公証人が出張してもらえるので外出できない方でも作成できます。しかし、自筆証書遺言書保管制度の場合はご本人が法務局まで行く必要があります。また、公正証書遺言の場合は公証人に書面を作成してもらえますが(署名できない場合も可能(民法969条4号但書))。自筆証書遺言書は遺言書をご本人が全体を手書きする必要があります(財産目録は印刷可能)。
    3. 相続人への通知
      自筆証書遺言書保管制度の場合、法務局が遺言者の死亡を把握した段階で、相続人に通知してもらうことができます。これにより、遺言書の存在に気がつかずに相続人らで遺産分割が進んでしまうことが防げます。公正証書遺言にはそういう制度はないため、ごく稀に遺言書の存在に気が付かず遺産分割協議が進んでしまい、後で混乱するようなことが起こります。

    どの手段を選ぶか

    大きく分けると、①公正証書遺言、②自筆証書遺言書保管制度、③従来のように自筆証書遺言書を自分(あるいは誰かに委ねて)で管理、の三択となります。しかし、③についてはあまり利点がないので、①も②もできないような場合に限られるかと考えます。
    ①と②の比較では、費用面をとにかく抑えるなら②となります。しかし、確実に有効な書面を作る上では、弁護士などの専門家に相談した方がいいでしょう。
    また、生前には周りの誰にも遺言書を作成したことを知られたくない場合には②がいいでしょう。①についても誰に知られずに作ること自体はできますが、知られていないため、いざ亡くなった後、遺言書の存在に気づかずに遺産分割協議が進んでしまう可能性があります。この点、②は通知をしてもらえるので、遺言書の存在知られずに遺産分割が進んでしまう可能性は考えにくいです。

    まとめ

    公正証書遺言にも自筆証書遺言にもいろいろなメリット・デメリットがあります。上記の内容だけではご判断がつかない場合は、当事務所までお問い合わせください。

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    弁護士 若山 智重
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    FAX番号 : 052-307-3051

    対応地域 : 愛知県 (名古屋市)、岐阜県、三重県
    取扱分野 : 相続問題 (遺産分割調停・遺留分侵害額請求・遺言書作成)
         交通事故 (過失割合・後遺障害等級)
         離婚問題 (不貞・慰謝料請求)
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