『オッペンハイマー』

何やら難しい映画との前評判を耳にしていたものの、直近のNHKのマンハッタン計画特集なども目にしていたので、何とかなるだろうと高を括っていました。しかし結果的には、思いのほかついていけませんでした。監督の意図を読み取ろうと必死でしたが、時系列が複雑になっているのもあり一度の鑑賞では無理だと悟りました。とはいえ3時間の映画ですので、二度目は難しい。

観終えた感想としては、このような厄介な映画がアメリカで大ヒットしたということが何よりも驚きでした。また、クリストファー・ノーランの監督作品はすべて観ていますが、本作はかなり硬質な作りになっており、正直この映画が好きかと言われれば、答えに窮するようなところがあります。

本作に対しては、もたらされた悲惨な結果を描いていない（避けている）、といった批判があるようですが、個人的には、この映画全体が醸し出す雰囲気、そして本作をアカデミーが評価し、米国内でも大きく支持されたといったすべての経緯を思えば、十二分に意義深い試みだったかと感じました。内容にはついていけませんでしたが、監督の姿勢には感銘を受けました。